生産ライン自動化のメリット・デメリットは?目的や事例紹介

生産ライン自動化のメリット・デメリットは?目的や事例紹介

昨今の製造業界では、人件費の高騰や人的トラブルによる問題が大きくなってきています。その流れで生産ラインの自動化は不可欠といっていいほど、重要になってきているのが現状です。そこで今回は、

  • 生産ラインの自動化を検討している
  • 生産効率を改善したい
  • 事例を知りたい

といった悩みにお答えしていきます。
生産ラインの自動化について検討していたり、自動化の現状など気になっている方は、ぜひ参考にしていただければ幸いです。生産ラインを自動化して、

  • 省力化、省人化してコストダウンしたい
  • 生産性アップして売上を上げたい
  • 人的ミスを減らして品質価値を高めたい
  • どのメーカーの装置、ロボットを使えば効率的かわからない

1.生産ラインを自動化する企業が増えている理由

生産ラインを自動化する企業が増えている理由

生産ラインを自動化することの重要さを感じている企業では、すでに自動化に向けての取り組みが行われてします。
自動化の重要性については以前から言われていましたが、どうして最近になって注目され始め、導入する企業が増えてきているのでしょうか。その理由としては、

  • 国内外問わず人件費の高騰
  • 慢性的な人手不足
  • 生産性の見直し

といったことがあげられます。
いままでの製造の流れは、安い賃金で大量の労働者を雇うことで生産性を保っていました。

しかし、最近では海外においても人件費が高くなり、以前までのような生産方法ができなくなってきているというのが現状です。
また、働き方の多様性により、人手不足はどの工場でも起こっています。これからその流れが大きくなっていくことは明らかです。

そうすると、いくら工場で生産したくてもできないような状況になってしまいます。
そこで、生産ラインの自動化が注目されるようになってきました。

2.生産ラインを自動化する目的

自動化の目的

生産ラインを自動化する目的について紹介します。

(1)生産性の向上や品質の安定性を高めて利益を最大化する

生産ラインの自動化をする目的は、企業によって変わってくるかと思います。

ただし、共通しているのは「利益を最大化」すること。

生産ラインを自動化することで、「生産性が向上」や「品質の安定性」が期待できます。
最終的には利益に繋がるため、生産設備の自動化はどの企業にとっても検討すべきと言えます。

(2)4M(人・機械・材料・方法)によるマイナス要因を排除する

生産をするにあたって、「生産性」や「品質」には製造の「4M」と呼ばれる以下のことが大きく関係してきます。

  1. Man:作業者・人的な要因
  2. Machine:機械設備・設備的な要因
  3. Material:原材料・材料に関する要因
  4. Method:作業方法・方法に関する要因

製造に関する生産性やトラブルなどは、すべてこの4Mが要因です。

最近では、「Media:情報に関する原因」「Management:管理に関する原因」Environment:環境変化による原因」が加わって「6M1E」なんてことも言われますが、大きくは上記の4Mが重要になってきます。
中でも、「Man:作業者・人的要因」は4Mの中でもっとも重要な部分。なぜなら、他の3Mにすべて関係するからです。

すべての要因に関係している「作業者」を「ロボット」に、つまりは生産ラインを自動化させることによって、生産性や品質の向上に繋がっていきます。

3.生産ラインを自動化するメリット

生産ライン自動化のメリット

とは言っても、生産ラインを自動化してどんなメリットがあるのか、具体的にイメージしづらいかと思います。
なので、生産ラインを自動化するメリットを解説します。

生産ラインを自動化するメリットとしては、

  1. 生産性の向上
  2. 品質の安定
  3. 不特定要因の排除
  4. 人件費の削減

といったことがあげられます。

(1)生産性の向上

人間が24時間働き続けることは不可能です。
もちろん交代勤務で働き続けることはできますが、やはり限界はあります。

ロボットであれば、24時間365日稼働し続けることが可能。また、人より速いスピードで作業できるため、生産数は格段とアップします。
例として、生産ラインを自動化した設備は、作業者を3分の1にしたにも関わらず、生産量は従来の3倍にアップしたケースもあります。

(2)製品の品質が安定する

どうしても人による手作業では、同じ工程だとしても、

  • 作業者の熟練度
  • 作業者の体調

などの人的要因によって、製品の品質や生産数にバラつきが出てしまいます。
ロボットであれば、だれが操作しても一定の品質を保ち続けることが可能です。

(3)原因が特定しやすく改善までスムーズにできる

製品ができるまでには、さまざまな要因でバラつきが生まれます。
もちろん人的ミス(ヒューマンエラー)により不良品が出ることもありますよね。これは人間である以上避けられません。

これらのヒューマンエラーは、「寝不足で作業が正確でなかったのか」「そもそも生産方法に問題があってたまたま出た欠陥品なのか」あまりにも不鮮明なため対処や改善が難しいのが現状です。

生産ラインを自動化することで、不良品やトラブルが起きたときの原因が特定しやすくなります。また、データを見れば問題点も見つけやすいので、すぐに改善できるでしょう。

(4)人件費の削減につながる

生産ラインを自動化することにより、人件費を大幅に減らすことが期待できます。
工場全体で必要な作業者の人数を減らせますし、作業者が急にやめた場合に必要な人材を確保するための突発的なコストも抑えることも可能です。

4.生産ラインの自動化を導入して改善された事例

自動車部品の組立装置の事例

※画像はイメージです。

製品名 納入先 用途 実現したこと 使用されている技術
自動車部品の組立装置 自動車業界 省力化・省人化 機械による省力化を実現。手作業でやると、製品にばらつきが発生するものを抑止。 ・Z折
ワークを山折り谷折りして収納をする。
ワーク一枚をきれいに折りたたむ高度な技術を使用しています。・自動昇降機
高さを調節する。作業をする方の身長に合わせることができます。・人に優しい装置
装置と人との共同作業をするものなので、手を挟んでも痛くないように調整してあります。・自動速度調整
ロールしながら折っていくので、経が膨らんでいきます。
早く巻きすぎるとワークが破れたり、遅く巻くと
それを防ぐために、ロボットが降りてくる速度と回転速度を調整しています。
PLCで回転スピードと加工スピードの協調性を確立。・治具の多品種対応
ワークの取り外しや取り付けがワンタッチで作れるようにしています。

 

 

自動車部品の組立装置の事例

※画像はイメージです。

製品名 納入先 用途 実現したこと 使用されている技術
工業用インクジェット式のプリンタのヘッドの組立 OA機器業界 省力化 XYZを用いて自動的に接着剤を塗布する。それにより塗布位置・塗布量の安定化を実現し省力化。 ・XYZのロボット
塗布位置を任意の位置に指定することが可能。PLC制御を行っています。・接着剤の塗布システム
定量塗布を実現。
一つの装置でUVと接着剤の塗布ができます。・UV照射のシャッター
目で見てしまうと失明の恐れがあるので、シャッターを設けて、外にUVが漏れないようにしています。・接着剤を塗布する前に清掃
清掃をしないとニードの先に接着剤が詰まる可能性があります。そのため、常に清掃してから塗布をし、定量塗布を実現しています。・エリアセンターの取り付け
引き込み位置に人が入ると止まるよう安全に設計

5.生産ラインの自動化に対する課題やデメリット

生産ラインの自動化に対する課題やデメリット

生産ラインを自動化するとさまざまなメリットがあります。しかし、自動化にはまだまだ課題やデメリットがあります。
なので、自社の状況と目的によって自動化を導入するのか検討しましょう。
今回は、生産ラインの自動化を導入する際に大きく考えられるデメリットや課題点を紹介しておきます。

(1)導入コストがかかる

生産ラインを自動化するにあたって、一番の問題が導入時にかかるコストですよね。

  • 技術者の育成や雇用
  • 関連するライン設備との連携
  • 安全面の確保

など、ロボット導入以外にもコストはかかります。
生産ラインを自動化するにあたって、必要な費用をすべて計算しないといけません。

とは言っても、まずはロボットの導入にどれだけのコストがかかるのか把握しておかないと概算でも計算できないため、見積もりを取っておくのが賢い選択と言えるでしょう。

(2)無人化までは難しい

生産ラインを自動化したとしても、完全な無人化までは難しいのが現状です。

  • ロボットの調整
  • メンテナンス管理
  • 細かい部分での人的作業

上記のような、どうしても作業者が必要な部分は、まだまだ自動化するのは難しいかもしれません。
しかし、100%できない訳ではないため、自動化をしてほしい部分があるなら一度相談してみるといいです。

(3)優秀な人材が必要になる

ロボットの導入により、作業者としての人材は必要がなくなります。
しかし、新たにロボットを導入してからは、「操作・管理」ができる人材が必要です。

自社で育成するのか、採用するのか、もちろんそのまま外注に依頼することもできます。
どのような選択にしても、新たな人材は必要なので、考慮しておきましょう。

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